COVIVIS(コビビス)の取り扱いに関する基本方針(利用規約含む)

COVIVISとは?

COVIVIS(コビビス, COVID-19 Virus and Infection surveillance tools)は総合研究大学院大学・統合進化科学研究センター(教授・佐々木顕)が開発・提供する「環境水中のウイルス濃度から流域の感染者数を推定する解析手法およびWebページ上で使用可能な解析ツール」の総称です.また、複数の大学、地方衛生研究所、国土交通省国土技術政策総合研究所、国立感染症研究所等で構成される「下水中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)調査プロジェクト」であるNIJIs(New Integrated Japanese Sewage Investigation for COVID-19)の一環として本Webサイトを公開しております.

本項は利用規約を含みます.COVIVISご利用の際には予め熟読して頂き、各項目にご同意頂けたものとみなします.

第1条.  目的と経緯

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者に関する統計データについては、2022年9月27日を以て感染報告者の全数把握が終了し、さらに2023年5月8日からの5類移行に伴い週1回の定点報告となりました.その一方で、下水中のウイルス濃度を測定し、流域における感染者数の推定に利用する試験が全国の自治体で試みられてきました.下水中のウイルス濃度の測定は定量PCRによる測定手法が確立されており、水質や流量などの測定地固有の条件の違いに対しても技術面での対応が進んでおります.幸にして一部の自治体では膨大な疫学データの得られる全数調査期間における下水中ウイルス濃度の時系列データを有しており、これら両者の間に十分な相関がみられることから、下水中ウイルス濃度の測定が感染者数の推定に繋がる有効な手段の一つであることが判りました.(使用した数理モデルと流行予測結果は別頁を参照)

従来の調査は地域の感染動向の把握に根ざしたものでありましたが、さらに今後も全国規模でのウイルス濃度測定のネットワークが整いつつあります.それに伴い、各自治体において簡便かつ包括的に感染者数を推定するデータ解析ツールの必要性が高まっております.COVIVISは理論疫学に基づいた解析手法を実践レベルで使用することを念頭に組み上げられており、実際にウイルス濃度測定に従事する自治体に向けての解析ツールの開発や、学術論文等にも幅広く引用頂ける解析手法をオープンソースにて公開しております.本アプリが開発された目的は、上記の活動を通じて継続した疫学動態を追跡すること、さらにそのためのデータ解析ツールを提供することにあります.

第2条.  提供するツール

上記のニーズに応えるべく、COVIVISでは主に3つのスクリプトおよびそれらをWeb上で実行できる解析ツールを公開しております.

まず、ウイルス濃度から感染者数を推定するためには、以下の2-1から2-3のプロセスによる操作が必要となります.詳しくは操作マニュアルをご参照ください.また、データの種類に関しては第3条をご参照ください.

  1. 2-1) 感染報告数の時系列データ(実測報告数データ)を入力し、推定発症者数の時系列データを出力するスクリプト
    医療機関からの陽性者が報告される日付の「感染報告数」のデータから、発症から陽性報告までの待ち時間の分布に従って生成した逆進推定発症者数の時系列データを返す.
  2. 2-2) 2-1で返された発症者数の時系列データと環境水中のウイルス濃度の時系列データ(環境水中の実測ウイルス濃度データ)を入力し、両者の回帰モデルあるいは数理疫学モデルのパラメータを出力するスクリプト
    新規のウイルス濃度データから感染者数を推定するため、双方のデータが揃っている過去の期間(fitting期間)を入力データとして回帰式あるいは数理疫学モデルのパラメータを推定する.
  3. 2-3) 環境水中のウイルス濃度の時系列データ(予測したい期間のウイルス濃度データ)を入力し、2-2で推定されたパラメータを用いて予測される推定発症者数の時系列データ(モデル予測発症者数データ)を出力するスクリプト
  4. 2-4) COVIVIS解析ツール
    COVIVISでは行政機関や研究機関向けに上記の2-1)から2-3)までのプロセスをWeb上で実行可能な解析ツールを公開しております.ログインのためのアカウント発行は5-1)アカウント登録の審査基準をご参照ください.また、アカウント取得なしでもRでのコードを公開しております.

第3条.  必要となるデータ

COVIVISでの解析には以下の3つのデータをご用意ください.詳細な出入力データの種類は別項のCOVIVIS解説資料をご参照ください.

  1. 3-1) パラメータ推定のための下水処理場のウイルス濃度の時系列データ(fitting期間実測ウイルス濃度データ)
  2. 3-2) パラメータ推定のための下水処理場の集水域における陽性報告数(公表日ベース)もしくは発症者数(発症日ベース)の時系列データ(fitting期間実測報告数データ)
    3-1と同時期のもの.
  3. 3-3) モデル予測用のための下水処理場のウイルス濃度の時系列データ(予測期間実測ウイルス濃度データ)
    感染者数を予測したい期間のウイルス濃度データ.

第4条.  解析手法の公開・管理運用・知的財産権について

4-1) COVIVISの公開・管理運用

COVIVISは上記の解析手法をオープンソースとして公開しております.公開内容としては、学術的な理論的背景の詳細、R(統計ソフト)コード、および本Webページ上で使用できる解析ツールとなります.解析ツールは一部の利用者のみに公開しております(詳細は第5条を参照).また、COVIVISの解析結果はNIJIs参画メンバーを中心に各自治体のホームページ等で公開されておりますが(リンク集参照)、さらに本サイトでも解析ツールの利用者による一部結果を共有しております.

COVIVISは総合研究大学院大学・統合進化科学研究センター・数理生物学研究室(佐々木顕教授)により開発・運営し、株式会社サイエンスグルーヴ社にWebアプリ化およびサーバー管理を委託したものです.2024年4月1日よりhttps://covivis.soken.ac.jp/にて公開しております.公開・運用の期間ついては未定です.また、解析用のRコードは本サイト以外にも、GitHubにて公開しております.

解析手法や解析ツールは必要に応じて随時修正、機能拡張等の更新を行います.最新版をご利用ください.また、解析ツールのアップグレード、サーバーメンテナンス、各種システム異常等で本サイトのサービスを停止することがありますのでご了承ください.

4-2) 知的財産権等

COVIVISは解析手法を提供・代行するものであるため、その解析法自体には知的財産権はありません.

また、COVIVISに入力されたデータおよび出力された解析結果は、利用者に帰属します.データや解析結果における著作権等の扱いは利用者により設定、管理してください.

ただし、本サイトのWeb素材および解析ツールを構成するソースコードについての所有権、知的財産権、肖像権、パブリシティー権等はCOVIVIS運営に帰属します.COVIVIS運営の許可なく複製や再配布することは禁止します.

一方、前述のRに対応したソースコードについては、完全にオープンソースとして自由にご利用頂けます.ただし、学術論文等の引用元とする場合は、本規約第6条を遵守してください.

第5条.  解析ツールのアカウント登録の対象およびアカウント削除について

COVIVISが提供するWeb上での解析ツール(2-4)はNIJIs参画中のメンバーであれば審査なしでアカウント発行いたします.

NIJIs以外の利用者に対するアカウント発行については、個別に対応させて頂きます.対象としては、既に下水サーベイランスに関連する研究実績を有する研究機関・研究者、環境中ウイルス濃度等の一次情報を有している研究機関・研究者、データ解析等の専門知識を有している研究教育機関(大学)・研究者等を想定しております.ご希望の際は、使用者名、所属先、連絡先、使用目的(二次利用の有無など)を記した申請書(形式自由)をご提出ください(提出先:covivis@ml.soken.ac.jp).審査の上、アカウントを発行いたします.上記の条件の枠外であると審査された場合は、恐れ入りますがオープンソースで公開しているRコードによる解析手法をご参照ください.

アカウント登録者は本項の利用規約および誓約書(別項)の内容に同意し、遵守するものとします.

また、重大な利用規約違反のあった登録者にはアカウント停止、さらにアカウント削除を行う場合があります.利用規約違反以外においても、当該アカウントに不正アクセス等が生じた際には、COVIVIS運営の判断によりアカウント停止もしくは削除を行うことをご了承ください.具体的には主に以下の場合が挙げられます.

  1. 5-1) 当該アカウントが不正なアクセスを受けている.
  2. 5-2) 当該アカウントを介してサーバーに過剰な負荷をかけている.
  3. 5-3) 当該アカウントのユーザーがCOVIVISを用いて不正な解析結果を拡散している.
  4. 5-4) 当該アカウントのユーザーがCOVIVISを用いて利用権限の無いデータでの解析結果を拡散している.
  5. これらの状況がみられた場合、直ちにCOVIVIS運営で協議し、アカウント停止と当該ユーザーへの告知を実施し、それでも改善できない場合は当該アカウントを削除いたします.
    また、 当該アカウントが削除された場合、同アカウントの保存・共有データが消去されることをご了承ください.

  6. 5-5) ユーザーがアカウント削除を申請する.
    利用者がアカウントの削除を希望する場合、COVIVIS運営にまでメールにて削除依頼の連絡をください.ただし、アカウントのメールアドレスからの送信に限ります.

第6条.  解析結果の公開・引用について

  1. 6-1) オープンソースコード(Rコード等)による解析結果の公開について

    COVIVISを使用した解析結果を学術論文、報道メディア、Webページ、SNS等で公開する際にはCOVIVISを引用してください.その際に、

    1. 6-1-1) 原則、COVIVISコードの改変による使用は想定しておりません.やむを得ずCOVIVISの解析手法に改変を加えた場合、COVIVISを引用した上で、改変を加えたことを明記すること.(RコードはMITライセンスにて公開中)
    2. 6-1-2) 解析に用いた入力データが架空もしくは不確かな場合、その旨を明示すること.
    3. 6-1-3) 利用(公開)権限のない入力データを使用(公開)しないこと.

    上記の点を厳守してください.また、解析ツールの使用や解析結果の公開に際して不明な点があれば、COVIVIS運営(covivis@ml.soken.ac.jp)までお問い合わせください.

  2. 6-2) 解析ツール(2-4)による本サイト上での解析結果の公開について

    COVIVISでは解析ツールを介して出力結果のサーバーへの保存と他ユーザーへの共有設定が可能です.保存のみ行なった場合は他のユーザーアカウントから解析結果が閲覧されることはありません.一方、他のユーザーへ共有する場合、6-1の利用条件に加えて以下の条件についてご了承をお願い致します.

    1. 6-2-1) オープンソースとしての公開を原則とし、閲覧者に対しての二次利用も可とすること.
    2. 6-2-2) 公開した解析結果について、COVIVIS運営や他の閲覧者からの問い合わせに対応可能であること.
    3. 6-2-3) 公開した解析結果について、COVIVIS運営からの修正や削除の要請があった場合、対応可能であること.
    4. 6-2-4) 公開した解析結果については他のコンテンツと同様に、COVIVISからの免責事項(8-1, 8-2)とする.

第7条.  必要となるデータの利用権限について

COVIVISは解析手法を提供するのみであり、解析に必要な入力データは提供しておりません.従って、入力データは各自でご準備ください.一次データをお持ちの場合は問題ありませんが、他者から入手したデータを入出力する場合、データ元の利用権限にご注意ください.自治体関連の研究機関の場合、ウイルス濃度については一次情報を計測されており、感染者数については新NESID(旧Her-sys)の情報が使用可能対象であるため、特に問題にはならないと考えられます.それ以外の研究機関は他者が公開しているデータを扱うケースが多いと思いますので、利用許可の取得や利用権限の把握については各自で行なってください.

第8条.  免責および禁止事項

  1. 8-1) COVIVIS運営は、本サイトおよびCOVIVISに関連するコンテンツの利用に関して生じる損害の一切の責任を負わないものとします.
  2. 8-2) COVIVISによって事実に反した入力データで出力された解析結果をネット上で拡散することを固く禁止致します.
  3. 8-3) 本サイトからリンクされている他のWebサイトへのアクセス、情報取得によって損害が生じてもCOVIVIS運営は一切の責任を負わないものとします.
  4. 8-4) 通信障害、利用者の環境設定、サーバーのメンテナンスなど、あらゆる要因で本サイトが利用できない状況によって生じる損害について、COVIVIS運営は一切の責任を負わないものとします.
  5. 8-5) COVIVISへのリンクは原則フリーです.ただし、公序良俗に反するものや法律・法令等に抵触する恐れのあるサイトへのリンクはお断りします.
  6. 8-6) COVIVIS運営の判断でアカウント停止もしくは削除されたことで生じる損害について、COVIVIS運営は一切の責任を負わないものとします.
  7. 8-7) 諸般の事情でCOVIVIS内での保存・共有データが消去されたことで生じる損害について、COVIVIS運営は一切の責任を負わないものとします.
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